マークスの山

高村薫さんの『マークスの山』を読みました。

文庫本で、上下巻。
行間が狭く、よく読む文庫本より、行数や文字数がすごく
多い感じがしました。

高村薫さんの小説を読むのは2度目。
『レディ・ジョーカー』以来です。

『レディ・ジョーカー』は、確かにものすごく引き込まれた
のですが、ラストでのある登場人物のリアクションに
ちょいと違和感を覚え、それが理由でその後は、高村
さんの作品に手がのびませんでした。

今回は、たまたま古本コーナーで見つけて、裏表紙の
あらすじが面白そうで、買ってしまったのです。

仕事の帰りの電車で読んでいたのですが(朝は寝ているので)
帰りが待ち通しくてしょうがないほどでした。

ミステリーとしての出来は、それほどとは思いません。

ちょいネタばれすると、たかが私立大学の理事長に、
それほど国の中枢までのコネクションがあることが
イマイチ、ピンときませんでしたし、それほどのコネクションなら
水沢の出所までに消すことだってできたようにも思いましたし。

それと、水沢が両親の自殺の後、山を1人でくだり、保護されて
から病院へ入院するまでの過程もよくわかりません。

だけど、のめりこんだのは、その警察組織の内情が、
あまりに生々しく描かれていたからです。

同じ警視庁でも、課が違えば、陰湿なほどの縄張り争いがあり、
捜査本部がおかれる所轄の刑事と送り込まれた警視庁の刑事
との間には見えない壁があり、はたまた、東京地検特捜部と
警察とには、水と油のような関係がある・・・

タバコの煙が漂い、栄養ドリンクのビンが転がる捜査本部で
毎夜繰り広げられる、ケンカのような捜査会議・・・

あまりの生々しさは、『太陽にほえろ』や『西部警察』のような
刑事はしょせんドラマだということに気づかされ、西村京太郎さんの
作品に登場する十津川警部や島田荘司作品に登場する吉敷刑事
のかっこ良さは、現実とは乖離した小説だということに気づかされます。

これを読むと、ホント、刑事というのは、大変な仕事だな
と思います。
それに、現場の刑事と捜査本部でイスにふんぞりかえっている
キャリア官僚との違いにも驚きます。

被害者のためにも犯人を逃がしはしない、という決意の現場刑事と
犯人逮捕よりも、どのようにすれば自分の点数が上がるか、いや
下がらないかを考えてしか行動しないキャリアの課長や署長。

警察というのは、必ずしも、犯人逮捕だけを考えていないのだと
いうことがわかりました。

だいぶ前の小説なので、今頃読んで感想なんて書いてる
人なんていないでしょうね。

参考にアマゾンのレビューを見てみると、文庫本と最初のハードカバー
を比べると、文庫本ではだいぶ削除されている部分があるようです。

ハードカバーを推す人が多いので、ちょいと後悔しています。

今は、高村薫さんのデビュー作を読んでいます。

こちらもとても面白く、早く先が読みたくて仕方ありません。

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