国境の南、太陽の西

聴きたくなる音楽の周期について先日書いたところですが、
読みたくなる小説にも周期があるようです。

3月末頃から4月にかけては、島田荘司のミステリーを
何冊か連続で読んでいました。

何でもすぐに見通してしまう探偵・御手洗潔シリーズより、
地道な捜査の積み重ねで事件を解決する吉敷竹史シリーズ
のほうが気に入っています。

「出雲伝説7/8の殺人」は面白かった。
初期の西村京太郎のトラベルミステリーや松本清張の『点と線』
を思い出させるような時刻表と特徴ある列車を利用したトリック。

島田荘司の“新本格”と呼ばれるミステリーは、ちょっとおとぎ話
っぽく、文体も軽い感じがするので、とても読みやすい。

そんな軽さに飽きると、続いてゴールデンウィーク前くらいまで
読んでいたのが、高村薫『照り柿』。
こちらは、とても“硬派”な文体で、一歩間違えば、読者から敬遠
されそうなのですが、物語への引き込み方がとても上手い。

『マークスの山』で登場した合田雄一郎刑事の第二弾です。
以前も書きましたが、刑事ドラマのような格好良さは全くなく、
ドロドロした警察組織の内幕が見られるところがとてもリアル。

『照り柿』の帯には、“現代の『罪と罰』”と書かれていました。

ラスコーリニコフとソーニャと気持ちがつながり、
一筋の光明が見えて終わる『罪と罰』に比べると、
『照り柿』は悲惨なままに終わってしまいます。

この後日譚こそが現代の『罪と罰』に成りうるんじゃないかと
思いながら、今度は息抜きできる本が読みたくなった。

ゴールデンウィーク明けから読み出したのが、
村上春樹『国境の南、太陽の西』。

画像

小説の中に登場するジャズを集めたコンピレーションCDまで発売されています!!
国境の南・太陽の西(紙ジャケット)


『ノルウェイの森』、『ダンスダンスダンス』、『羊をめぐる冒険』
ような、ちょいと思考回路が変わった主人公の瑞々しい“恋”を
描いた小説。

前述の3作では、登場する女性キャラに読んでる僕までもが
恋をしてしまったのですが、今回、それはありませんでした(笑)

でも面白かった~。

ジャズバーを2軒経営し、青山の4LDKのマンションに
奥さんと2人の娘と暮らす主人公。

彼のジャズバーに、小学校時代に"運命の人"だと
感じた女の子が、美しい女性となってやって来た。

20数年の時を経て、激しく恋に落ちた2人の行く先は・・・

こんなストーリーが、村上春樹お得意の洒落た
テンポの良いセリフと、作品中に散りばめられた
ジャズやクラシックの曲とともに展開します。

タイトルになっている『国境の南』とは、小説の中では、
主人公が“運命の人”である女の子と聴く、ナットキング・コール
の曲名です。

僕が持っているナットキング・コールのベスト盤には入っていないので、
Youtubeで聴こうと探してみると、フランク・シナトラのバージョンが
見つかりました。

Good old daysを感じずにはおられない、穏やかで心地よい曲ですね。

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は、一度
読んだだけで十分だと思いましたが、この作品は、"たぶん"、
今後も何度か読みたくなりそうです。

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